「エアコンの風が苦手なので何かいい空調無い?」
「輻射式の暖房って実際使ってみてどう?電気代は?」
劇的ビフォアアフターで輻射式(ふくしゃしき)の暖房を知っていいなあと以前から思っていました。
輻射とは熱が空気や物体を通さず伝わる現象のことです。
例えば、熱いやかんの横に手を近づけると触れていないのに熱が伝わってきますよね。
この現象を利用したのが輻射式空調で、私の家では新築時に工務店のススメでエコファクトリーのエコウィンハイブリッドを導入しました。
もう5年以上使っていますが、期待通りいいです。電気代や使い勝手をレポートします。
エコウィンハイブリッドの特徴
①対流式+輻射式による熱の移動原理をW応用
エコウィンハイブリッドはエアコン(対流式)とパネル(輻射式)を同時に動かします。
これがハイブリッドといわれる所以です。
エアコンは空気を暖めたり冷やしたりして循環する対流式とよばれる方法です。
一方でエコウィンのパネルは温かくなったり冷たくなったりして、暖房時は周囲のモノや人に熱を伝えたり、逆に冷房時は周囲の熱を吸収したりする輻射式です。
パネルの輻射式の冷暖房により、夏は蔵の中のようなひんやりした空間、冬は陽だまりの中にいるような暖かい空間になります。
輻射式のパネルは冷たくなったり、暖かくなったりするまで、少し時間がかかりますが、本商品はエアコンがすぐ動き、涼しいまたは暖かい空気が流れますので即効性もあります。
②エアコンは微風でOK
パネルによる輻射式で冷暖房を行うため、エアコンは微風での運転が推奨されています。
エアコンの風が苦手な方には優しい冷暖房となっています。
微風運転のため、ウイルスや細菌の拡散を軽減、さらにファンの駆動が少なくなることで熱源エアコンの長寿命化が期待できます。
③最大34%の省エネ効果
高性能エアコン単体運転に比べ、暖房時の消費電力を34%も削減しています。
エコウィンハイブリッドを5年使ってみての感想
●エコウィンハイブリッド1台で26畳のLDKは十分
26畳のLDKにScreenタイプ1台を設置しています。
今のところ1台で十分な冷暖房は行えており、赤外線ヒーターなどの補助の冷暖房は一切ありません。
運転は寒いとき、暑いときだけで、24時間運転することはわが家ではありません。
真夏、真冬の休日で家にいるときは、朝起きてから夜寝るまでずっとつけておきます。
夏は設定温度を27℃~29℃、冬の設定温度は20℃~22℃にしています。
ちなみに、3月のとある日の温度状況は、設定温度21℃ 風量自動 外気温12℃ 室内温度22.3℃ 湿度47%です。
●体の芯が暖まる
エコウィンハイブリッドだと、暖房時は体の芯がじんわり暖かくなってきます。
例えるならば、優しい温度の大きい電気ストーブみたいに思ったらいいと思います。
パネルの横でパソコン仕事をしていると、冬でも暑くなってくるときがあります。
だからといって、肌が痛くなるほどの熱さではないのでご安心ください。
本当に優しい暖かさです。
部屋の物体がどんな温度変化をするかをサーモグラフィで計測してみました。
計測したのは、下のリビングの間取り図にある、エコウィンのパネル、壁A、壁B、床、子供の顔です。
22度設定でエコウィンハイブリッドを3時間運転しました。
下の写真と表は実際の計測画面の一部と結果をまとめたものです。
壁や床は1.5℃以上温度が上昇しました。
子供の顔は最大1℃上昇しました。
体感としては、3時間したら少し暑いので切りたいくらいでした。
パネルから近い壁Aとパネルから遠い壁Bを比べると、壁Aのほうが温度上昇幅が大きくなりました。
体感としても分かりますが、パネルの近くにいるほどやはり温度は高くなりやすいと思います。
家事コーナーで作業していると冬は暑くなるときもあります。
●冷房時はひんやり
夏の冷房時は、洞窟の中にいるような感じです。
こどもが夏に熱を出したときは、この横で寝かせていました。
●エアコンの風は感じない
エアコンは推奨通り、微風(風量は自動で、次第に微風になります)で運転しています。
私はエアコンの風が苦手だったので、非常に助かっています。
微風ですので、エアコンに近づかない限り、風を感じることは無いです。
冷暖房の感じや風の強さを確かめるために、お近くの営業所で一度体感されることを強くオススメします。
私は県内の営業所で体感して納得して導入しました。
●電気代は安い
過去5年間の電気代を下記に記載しました。
エコウィンハイブリッドを使っていないアパート暮らしのときは、1年間の光熱費(電気代+ガス代)が171,445円(月額14,287円)
エコウィンハイブリッドを使い始めた頃は年間100,000円くらいでだいぶ光熱費も安くなりました。
オール電化にしたこと、アパートに比べ住宅の断熱性が高いこと等、複数の要因が考えられますが、エコウィンハイブリッドで光熱費が高くなることはありませんでした。
現在は、電気代の単価が年々上がってきており、ウクライナ情勢の影響も有り、昔と比較出来ませんが、これからエコウィンを検討される方に参考になればと思います。
ちなみに、関西電力によると、オール電化住宅の4人家族以上の月額の電気代は17,738円(2020年~2021年の年間使用量の平均値)だそうです。
それに比べても我が家は、まだかなり安いので、やはり、エコウィンハイブリッドが多少なりに光熱費の低減化に貢献してくれていると感じています。
ちなみに、2021年12月から2022年3月までの電気代が前年に比べかなり上がっていますが、洗濯物を浴室乾燥機で全部乾かす実験をしたためです(^^;)
浴室乾燥機は確かに乾くのですが、高く付くことを実感しました。
〈表〉エコウィン導入4人家族の電気代実績
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
1月 | ¥10,634 | ¥8,807 | ¥11,742 | ¥11,493 | ¥23,103 |
2月 | ¥16,575 | ¥14,003 | ¥15,189 | ¥15,433 | ¥24,269 |
3月 | ¥17,727 | ¥12,685 | ¥15,921 | ¥15,832 | ¥22,538 |
4月 | ¥11,688 | ¥10,839 | ¥13,008 | ¥10,868 | ¥14,610 |
5月 | ¥9,025 | ¥8,069 | ¥11,703 | ¥8,438 | ¥10,130 |
6月 | ¥7,236 | ¥6,016 | ¥9,516 | ¥7,706 | ¥8,911 |
7月 | ¥5,402 | ¥5,044 | ¥6,938 | ¥8,704 | ¥10,247 |
8月 | ¥5,630 | ¥5,581 | ¥6,751 | ¥8,639 | ¥11,400 |
9月 | ¥6,693 | ¥8,100 | ¥7,384 | ¥10,354 | ¥12,659 |
10月 | ¥6,860 | ¥7,193 | ¥8,168 | ¥7,801 | ¥11,424 |
11月 | ¥5,871 | ¥6,284 | ¥6,843 | ¥10,839 | ¥13,469 |
12月 | ¥6,571 | ¥8,697 | ¥8,028 | ¥16,214 | ¥22,177 |
合計 | ¥109,912 | ¥101,318 | ¥121,191 | ¥132,321 | ¥184,937 |
平均 | ¥9,159 | ¥8,443 | ¥10,099 | ¥11,027 | ¥15,411 |
●こどもにも安全
輻射熱パネルは冷たくなったり、暖かくなったりします。
しかし、触っても火傷をするような温度では無いので、こどもが触っても問題ありませんでした。
メーカーによると、低温輻射(40℃~55℃)とのことです。
パネルがむきだしになっておりますので、こどもは必ず触ると思います。
0歳児の男の子はがんがん触っていますし、おもちゃで叩くことがあるのでそちらのほうが心配です(汗)
ちなみに叩かれて壊れたり傷ついたりすることもありませんでした。
冬なんかは、外から帰ったときに娘が背中をパネルにくっつけて暖まっているときもありました(笑)
デザインも丸みを帯びていますので、触れて手が切れるといったこともありません。
ファンも付いていないので、手が巻き込まれるといった心配もありません。
安全性は高いと思います。
●エコウィンハイブリッドはパネルの配置が重要
パネルに近いほど、暖房時は暖かく感じます。
わが家はパネルをダイニングテーブルと家事スペースの間に設置しているので、ご飯を食べるときや家事コーナーで勉強しているときは特に暖かいです。
一方、パネルから遠いソファスペースはそれほど輻射熱を感じません(パネルから3m程離れています)。
かといって寒くも無いので、ソファでTVや映画を見るときは、設定温度を1~2℃上げる、または、毛布を膝に掛ける等をしています。
補助暖房器具は全く使用していません。
個人的な意見ですが、パネルを壁に寄せて付けるのはもったいないと思います。
パネルは両面から輻射熱が発生しており、壁に寄せて設置すると、片側は誰もいない壁を暖めるだけになってしまうからです。
理想としては、部屋の中心に設置し、部屋全体に輻射熱が行き渡るのがいいと思います。
ただし、部屋の中心に置くと、空間が仕切られ狭く感じますので、それが嫌ならわが家のように家事コーナーの横に設置し仕切りのように使用するのもいいと思います。
冷蔵庫の横、冷蔵庫の対面にパネルを設置するのはオススメしません。冷蔵庫を暖めてしまうからです(笑)
他の部屋に行くと、輻射熱(暖かさ)は全く感じません。
あくまでも、パネルがある部屋だけ暖かいという感じです。
わが家はLDKにエコウィンハイブリッド、他の部屋には別途エアコンを付けています。
●立ち上がりも早い
エコウィンハイブリッドはエアコンとの併用です。
スイッチをONにすると、エアコンがすぐ動き始め、暖かいまたは涼しい風が出てくるので、部屋もすぐに暖かくなったり涼しくなったりします。
●冷房時は結露するが除湿効果となる
夏の冷房時はパネルがかなり結露し、水が流れていきます。
といっても、下のドレンパンで水を排出するので問題ありません。
5年使っていますが、カビがはえる等といったことは全くないです。
夏はパネルが結露し、その水が排出されるせいか、じめじめ感は全くなく、除湿効果も感じています。
●毎日長時間冷暖房を使う人は17年で元が取れる
エコウィンハイブリッド本体と設置費含めいくらかかったのかを工務店の見積書や契約書で探したのですが、マイホームの本体価格に含まれており,詳細は分かりませんでした。
当時の打ち合わせのメモではScreenタイプの本体価格が「50万程度」ど書いてありますので、それくらいはかかるのだと思います。
エアコン単体と比べ、イニシャルコストとランニングコストの合計がどれくらいになるか計算してみました。
初期費用はエコウィンが高いものの、ランニングコストが安いので累計のコストは17年目にはエアコン単体と同じになりました。
更に50年目には80万円以上もお得という予測結果になりました。
この予測結果は、エアコンのメーカーが出している期間消費電力量から算出しており、この期間消費電力量はシーズン中、毎日6:00~24:00の18時間エアコンを稼働した場合の数値となっています。
毎日お家で過ごすライフスタイルの方や会社等はこの予測値が近いかもしれません。
一方のわが家は共働きのため、平日は6時間程度しかエアコンをつけませんので、17年目に元がとれるとは正直思っておりません(汗)
コストは同等か、死ぬまでには元が少しはとれるくらいと感じています(笑)。
エコウィンのパネルは動力が無く、駆動部がないため、全く故障なしということで想定しています。
エコウィンハイブリッドのコストを抑えるには、ポイントが3つあると思います。
1つはエアコンの能力を通常のケースより落とし、安く手に入れることです。
メーカーのHPでは、エコウィンハイブリッドはパネルの輻射機能があるため、併用するエアコンは冷房能力が通常ケースの70%程度の能力のモノでよいと書いてあります。
どの程度に落とすかは、各地域の営業所に相談し、事例を教えてもらいながら判断すればいいと思います。
わが家のエアコンは26畳LDKでCHOFUの冷房能力4kW、暖房能力6kWのものを使用しております。
冷房能力は通常の26畳用のエアコン用の50%程度ですが、十分なパフォーマンスを発揮しています。
2つめは広さに応じた適切なパネルの大きさを導入することです。
わが家は24畳用のScreenタイプ(自立タイプ)ですが,部屋が小さい場合は12畳用、18畳用で十分です。
部屋が小さいのにハイスペック過ぎるのは無駄になってしまいます。
3つめは外の遮熱です。
夏は窓から強い日差しが入ってきて、カーテンが熱くなります。
この熱いカーテンは室内にあることから、エコウィンハイブリッドの冷房が無駄になってしまいます。
夏はすだれ、植物等のグリーンカーテン等、窓の外で日射を遮る外遮熱を行い、カーテンや室内のモノが熱くならないようにしましょう。
そうすることで、エコウィンハイブリッドの冷房が無駄にならず、ランニングコストが下がると思います。
(1)初期費用
エアコン148,000円(26畳用:冷房能力8kW)※設置費は無視
(2)ランニングコスト
①電気代:エアコンの期間電気代72,954円
②エアコンの買い換え代:148,000円(10年ごとに買い換え)
※エアコンの価格、期間電気代はインターネットで調査
※期間電気代とは期間消費電力量から電気代を換算したものです。
1kWhあたり27円(税込)として計算しています。
※期間消費電力量(kWh)とは消費電力を年間で合算したものです。【エコウィンハイブリッド】
(1)初期費用
エコウィンハイブリッド50万円(スクリーンタイプ)+エアコン83,280円(メーカー推奨のとおり冷房能力が26畳用のエアコンの7割のもの:冷房能力5.6kW)
※設置費は無視
(2)ランニングコスト
①電気代:72,954円×0.66(エコウィンはエアコン単体運転に比べ34%省エネのため)
②エアコンの買い換え代:83,280円
※ただしエコウィンはエアコンが長持ちすると仮定し、12年ごとに買い換えとする。
●デザインはスタイリッシュ
スタイリッシュなオブジェみたいで、友達が来たときはこれが何かよく聞かれます。
一方で、何かの仕切りと思う人もいます。
我が家はフレームがダークブラウンでしたが、いざ家を建ててみると、少し濃すぎたかなと思っています。
フレームのデザインをもっと薄い色にしとけばよかったと後悔していますので、導入される方は慎重にフレームを検討されてください。
個人的には建具(ドアや備え付けの収納)または家具の色に近いものを選んだ方が統一感がありいいと思います。
●メンテナンスは拭くだけ
結露した水を受けるドレンパンやパネル部分のサーもエレメントを定期的に拭くぐらいで非常に簡単です。
夫にやってもらいます(^_^)b
●パネル自体の音はほぼなし
音はほぼ無いです。特に暖房時は全くありません。
冷房時はかすかに音がしますが、気になりません。
●5年使用して故障は全くありません。
故障や錆等は全く今のところありません。
●後悔する点
今のところは後悔することはありません。わが家は満足しています。
まとめ
●エコウィンハイブリッドは夏は洞窟にいるような、冬は体の芯が暖まる、優しい質の高い冷暖房です。
●エコウィンハイブリッドは微風運転のため、エアコンの風がどうしても苦手な人にはお勧めです。
●お近くに営業所が有ると思いますので、高いモノですし、1度体感して納得して導入されることをオススメします。
●電気代は安くなります。1日の使う時間が長い人ほど早く元がとれます。
●運転時間が短い人は元をとるのに時間がかかります。
●パネル温度もそれほど高くないのでこどもにも安全です。
●パネルの置く位置が重要です。配管工事がありますので、マイホームやリフォームを計画している時点で工務店やハウスメーカーと検討しましょう。